お月様の本

暗いお話です。口に出せない思いを文字へ。

star

綺麗とも言えない星
こんなのが掴めたところでどうなるんだろう。
そんなことを思いつつも、手を伸ばした
空を掴む自分の手
私の手はこんな星屑も掴めやしない。
ずっと雨が降っていればいい
星を見ることもなくなるだろう
掴めない星はなくなるんだ。
止まない雨が続いて、溺れてしまえばいい
何もせずとも星まで運んでくれるだろう。
そうしたらきっと、私でも届くから。

「届くわけないじゃない、あんな遠く。」

隣から、君の声
行き場をなくした手

「だから、そんなものより私の手を掴む方がよっぽど良いと思うの!」

君の冷たい手
それは心があったかい証拠らしい。

君の笑顔はキラキラと、星のよう。

ぎゅ、と握られている手



ああ、星に届いた。
雨が降らずとも、届いたの。

わたしの手が星を掴んで離さないの。